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建設業の新年度トピック

2019-04-30

「建設キャリアアップシステム(CCUS)」をご存知でしょうか。

http://www.kensetsu-kikin.or.jp/ccus/index.html((一財)建設業振興基金)

建設キャリアアップシステムとは、技能者の現場における就業履歴や保有資格などを、技能者に配布するICカードを通じ、業界統一のルールでシステムに蓄積していくものです。

「建設業の現場で就労する方は、様々な事業者の現場で経験を積んでいくため、個々の技能者の能力が統一的に評価されにくく、現場管理や後進の指導など、一定の経験を積んだ技能者が果たしている役割や能力が処遇に反映されにくい環境にあり」

「技能者の処遇の改善や技能の研鑽を図ることを目指す「建設キャリアアップシステム」の構築に向け、官民一体で取り組んでいる」

とのことです。(国交省HPより)

http://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/totikensangyo_const_fr2_000033.html

今年4月に本格稼働し始めたばかりで、活用の効果が見えてくるのはまだ先になるかと思います。

ただ、業界での評判は必ずしも良いものばかりではないようです。

というのも、一つには、おなじくこの4月から開始する外国人労働者の新しい在留資格「特定技能」に関連し、この建設キャリアアップシステムへの登録が義務付けられたことがあります。

趣旨目的からすれば、特に不思議はないようにも思えますが、そうした取り組みがコストアップや処遇改善(人件費上昇)に繋がることは間違いなく、そのために敬遠する向きがあるということだそうです。

このシステムの推進は国交省の管轄ですが、これを後押しすべく今年度の厚労省の助成金にも、関連する改正が見られました。

現場で必要になる資格等の技能講習や特別教育を受けさせた場合に、事業主が負担した受講費用や、賃金に対して支給される助成金、“人材開発支援助成金「建設労働者技能実習コース」”です。

助成金の「賃金助成」部分について、対象の建設労働者が「建設キャリアアップシステム」に登録している場合、10%の加算が新たに設けられました。

この助成金は、昨年制度改正があり、登録教習機関等を利用する場合には事前計画が不要になるなど、以前より使いやすくなりました。

空前の人手不足に悩まされる建設業界が、コストの安い労働力を求めて利益をあげる方向ではなく、業界全体、国全体として「技能者を育て、価値を生み出す」という方向で盛り上がることが望まれているのではないかと思います。 (森本)

従業員の自転車通勤、大丈夫ですか?

2019-01-31

従業員から通勤に自転車を利用したいという希望があった場合、どのようにしておられますか?黙認したり、無条件に許可するだけでは、問題が生じることがあります。今回は、「自転車通勤」について、どんな点に注意すべきか、どのような準備が必要かなどをお伝えします。

【自転車通勤のルールを決める】

近年、自転車による人身事故で多額の賠償責任が発生する案件が複数あります。また、地方自治体が自転車保険の加入を条例によって義務付ける動きも広がり始めています。

ちなみに千葉市では事業者に対して、次のように情報提供を努力義務としています。「事業者は、通勤で自転車を利用する従業員に対し、自転車保険等の加入に関する情報を提供するよう努めるものとする。」

会社の対応としては、自動車と同様に重大事故につながるリスクがあるので、別規程を作成して自転車通勤を許可制として、安全運転教育の受講や、保険への加入を義務づけるなどルールを設けることが必要です。同時に許可申請用の書式も整えましょう。

一方、検討の結果、自転車通勤を認めない場合は、就業規則で明確に禁止しましょう。

【通勤手当】

自転車通勤者に通勤手当を「支払う」「支払わない」は、会社の判断でどちらの取扱いとしてもかまいません。自転車通勤を許している会社に規定が無いため、従業員からの「駐輪場代を支払ってもらえますか?」等の質問に対応できない、という相談が寄せられたことがありました。賃金規程の「通勤手当」条文に自転車通勤について支払いの有無、条件、金額など加筆して明確にしましょう。

なお、給与計算での注意点として、マイカー通勤者と同様に、距離に応じて非課税額が異なります。通勤手当のうち非課税額を超える額は「課税」となります。

参考/国税庁HP マイカー・自転車通勤者の通勤手当

https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/2585.htm

【保険の注意点/業務上の使用】

自転車通勤者が保険に加入していても、業務中の事故については免責条項があり、保険からの支払いがなされない場合があります。通勤途上であっても、打合せや書類を届けるなどの目的で自社の事業所や、他社に立ち寄る間の事故は「業務中」といえます。

これらを禁止するか、または、会社が、業務上の事故賠償を補償する施設所有管理者賠償責任保険に加入して、対応しましょう。

自転車通勤規程を作りたい、許可申請の書式を整えたい、賃金規程の通勤手当はどう変更したらいいの?など、もし不安に思われましたら、お気軽にハーモニーの担当者までご相談ください。 

(コンサルタント 伊藤 薫)

社会福祉施設における労働災害の特徴とその予防策

2018-11-09

社会福祉施設(児童福祉、老人福祉・介護事業、障害福祉)における労働災害発生件数が年々増え続けております。2017年は計8,738件の労働災害が発生しており、過去最多を記録しました。

(参考:https://www.jisha.or.jp/info/bunsekidata/pdf/13021.pdf

社会福祉施設における労働災害には下記のような特徴があります。

1)事故の型別では「動作の反動・無理な動作」による負傷(腰痛等)が最も多い

2)被災した労働者を年齢別に分けると、7割以上が40歳以上の中高齢者である

3)その事業所の規模が小さいほど、事故が起こりやすい

これは

・他業種から転職をした、いわゆる「業界経験が浅い労働者」が多く、正しい姿勢での介助作業が守られていない。

・誤った介助姿勢を正す教育や注意指導・改善できる職場環境が整っていない。

・小規模であればあるほど、安全衛生に関する担当者を設けることが難しく安全管理が脆弱である。

といったことが背景にあると考えられます。

このような状況を踏まえ、会社側ができる予防策としては下記のような取り組みが考えられます。

■介助姿勢に関する定期的な教育の実施

イラスト付きのマニュアルを活用したり、先輩社員が正しい介助姿勢を実際に行ってみせるなど、正しい作業イメージを持てるような内容が理想的です。

また、一回限りの教育ではなく、定期的な教育を行うことで効果が高まります。

■作業標準書の作成

 その利用者さんの状態や介助の際の留意点などを予め個別にまとめておき、負担の大きな作業が生じないよう事前に把握をしておきます。

 足腰の可動領域や身長・体重を踏まえ、単独での作業が困難だと感じたら、多人数で介助を行う、といった対策が立てられるようになります。

■福祉用具の活用

 リフトやスライディングシート等を積極的に活用し、人力での作業を極力控えることで身体的な負担軽減を図ります。

 前述の作業標準書に福祉用具の利用を盛り込んでおくのもよいでしょう。

いずれも、やろうと思えば明日からすぐにでも取り組める内容です。

腰痛発症者が後を絶たない…、といったお悩みがございましたら、上記の予防策をご検討してみてください。

また、近年では、介護ロボットを活用して作業負担を軽減させよう、といった取り組みも進んできております。普及率はまだまだ高くはないようですが、数年先には人力作業が一切無い介助作業が当たり前になっているかもしれませんね。

(コンサルタント 岡本 亨)

残業削減、どのように取り組んでいますか?

2018-10-12

こんにちは、山崎です。

これまでテーマに挙げてきた医療業、飲食業のみならず、どの業種も共通の悩みである残業削減について、今回書いてみます。

少し前までは、周りの人が帰らないと自分も帰れない。少しでも残業できる人ほど評価される。そんな職場の空気が蔓延していたように思えます。その流れが大きく変わろうとしています。

ご存じの「ワークライフバランス」「働き方改革」の号令のもと、国は本気になり、来年4月からは法律も変わります。「残業」はある一定の範囲内でしかさせられなくなります。既に皆さんの会社でも色々な取り組みを始めているのではないでしょうか。

しかし、いざ、残業削減の目標を掲げてみると、大きなジレンマを感じます。

いままで、長時間、仕事をしていても何を言われない環境。そのやり方になじんでしまったものですから、急に早く帰れと言われても仕事が片付けられない、終わらない。それもそのはず。そもそも、早く帰る仕事の進め方を知らないからです。

一方で、どの会社にも、1時間、2時間も早く仕事を終え、帰れている人はいます。

私はその方たちの共通しているキーワードを「仕事の主導権」と考えてます。

ここでいう主導権は、その仕事にいかに率先して取り組むか?任せてもらえるようにするか?のこと。別に仕事の権限が集中する管理職だけの話ではないのです。

主導権を持つために、次の3つの行動習慣は必要です。簡単にポイントも記載します。

①仕事の現在地の把握

その仕事のゴールはどこで、全部でどれだけのステップがあって、今どの位置にいるか?今日のこの会議・打ち合わせって、何の目的で、今何を話し合うべきか?いわば自分の現在地を把握でき、そして相手に現在地を説明できる人は無駄な動きは少ないです。

②先回り行動

頼まれた仕事で今できることは率先して今やってしまう。先に気づいたことを質問する。これはチームで仕事をするうえで生産性を上げます。さらに仕事を頼んだ仲間に感謝されます。仕事の主体を相手から自分に変えることで、受け身な待ち時間が減ります。

③自分の「負けパターン」を知る

終業時間直前の効率のあがらない時間帯に気の進まない仕事をやってもダラダラしてしまうしミスも増えます。自分が得意ではない仕事を抱え込んでも名案は生まれません。仕事のできる方に相談するなら、事前にスケジュール調整が必要です。仕事のできる人ほど仕事が集中し、忙しいからです。自分の生産性を左右する「負けパターン」を知り、勝ちパターンを作り出す。これができれば、周りはあなたの仕事のやり方を認めてくれるはずです。

他にもあなたに合うやり方はあるはずです。仕事のできる方をよ〜く観察し、1つでも職場で実践するきっかけを作ってみてください。残業削減の成功の秘訣は、1人1人が意識をもって1時間でも、30分でも仕事時間を減らす行動を積み重ねていくことなのです。

幼稚園・保育園と年次有給休暇

2018-08-01

伊藤です。

働き方改革関連法が成立し、来年2019.4.1から年次有給休暇の確実な取得が必要となります。

幼稚園・保育園の経営者の方と年次有給休暇の話題になると、「夏休みが長いから、年次有給休暇をとっているようなものだ」「年末年始も休みが多い」と、年次有給休暇として休暇をとれていないのに、「長期休暇があるから大丈夫」「年次有給休暇の管理は不要」だと考えている経営者が少なからずいらっしゃいます。

来年4月1日以降はニュースなどで話題となり、教職員から「園の年次有給休暇はどうなっているのですか?」などの質問を受け、慌てることもあるかもしれません。今のうちに準備を始めましょう。

【教職員の年次有給休暇を確認する】

 正規職員はもちろん、パート勤務も確認が必要です。毎日勤務するパートは6か月勤務後から、週3〜4日のパートも勤続年数によっては「年次有給休暇の確実な取得」対象となります。

【年次有給休暇を計画的付与する】

 年間行事カレンダーを作成するときに、休めそうな期間に年次有給休暇を取らせるように決め、教職員と労使協定を締結する(監督署への届出は必要ありません)。

 保育園や、預かり保育を行う幼稚園は年間を通じて開園していますが、お盆や休みなど利用者数が減るころに、交替で年次有給休暇を取得させましょう。年末年始も同様です。

【年次有給休暇の付与の時期を工夫する】

 法律では勤務後6か月に、年次有給休暇を付与すること、と定められています。が、採用と同時に付与するように就業規則等で定め、新卒者で慣れない仕事で体調を崩したときや、子育て期である中途採用者に、年度初めの学校行事等への参加のために利用してもらいましょう。

 有給休暇取得のルールを明確にし、利用しやすい環境を整えると、働きやすさをアピールできます。

 年次有給休暇の日数が分からない、労使協定はどうやって締結するの?就業規則はどう変更したらいいの?など、お気軽にハーモニーの担当者にご相談ください。

建設事業主等に対する助成金

2018-04-27

森本です。

雇用関係の助成金には様々な種類がありますが、建設業に関しては、昨今の情勢から人材確保の必要性が高いとされ、「建設業に限り利用可能な助成金」がいくつかあります。

昨年までは「建設労働者確保育成助成金」と呼ばれていましたが、平成30年度の改正で変更がありましたのでご紹介します。

まず、「建設労働者確保育成助成金」という名称としては廃止になりました。内訳の各コースが、既存・新設の別の助成金に統合された他、一部コースは廃止になってもいます。

統合された助成金は、従前と基本的に同じ利用方法ですが、支給額・率が変わっているものがありますので、あらかじめパンフレット等をご確認ください。

【改正リーフレット】

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/30annai.pdf

【厚労省サイト】

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kensetsu-kouwan/kensetsu-kaizen.html

建設業に限った話ではありませんが、人手不足のおり、採用を拡大したい、しっかり育成して長く働いてもらいたいというお声をよくうかがいます。そういった施策を予定される場合には、助成金が利用できるケースが多いので、ぜひともご検討いただければと思います。

今回は、平成30年度に利用可能なもののうち、比較的利用しやすいと思われるものに絞ってご紹介します。

①未経験でも可、「若年者又は女性労働者」を積極的に雇用したい!

トライアル雇用助成金「若年・女性建設労働者トライアルコース」

トライアル雇用助成金(4万円×3ヶ月分)に上乗せ(4万円×3ヶ月分)支給される助成金です。対象となる労働者は、女性または35歳未満の男性労働者です。申請が比較的容易であるわりに、総額24万円の受給ができるため、お勧めです。

トライアル雇用助成金支給申請後に、申請書の写しを添えて本コースの支給申請を追加で行います。

トライアル雇用助成金はあらかじめハローワークにその旨を示して求人を出し、そこから応募してもらう必要がありますので、ご注意ください。

トライアル雇用助成金の概要はこちらをご覧ください

②現場で必要になる資格等の技能講習や特別教育を受けさせる費用を補助してほしい!

人材開発支援助成金「建設労働者技能実習コース」

・安全衛生法に基づく教習及び技能講習や特別教育

・能開法に規定する技能検定試験のための事前講習

・建設業法施行規則に規定する登録基幹技能者講習など

の受講に係る経費の45%〜最大90%が助成されます。また、受講時間に係る賃金助成として、日額6,650円〜最大9,600円が支給されます。

技能実習の経費を全額会社負担とし、かつ「労働時間内として」に受講させる(=賃金を払う)必要があります。

各技能実習開始の1週間前までに計画届を提出し、実習実施後2ヶ月以内に支給申請を行います。

この他にも次のような場合には助成金が利用可能です。詳細はお気軽にお問い合わせください。

・人事賃金制度を新たに整備して定着を図りたい

・登録基幹技能者の給与水準を上げて定着を図りたい

・若年者や女性労働者を積極的に活用するため、重点的な施策を実施したい

・女性労働者活躍のため、女性専用の作業員宿舎を現場に整備したい

・正社員に対し、計画的に訓練や研修を受けさせて技能向上を図りたい

保育園・認定こども園の処遇改善等加算

2018-01-26

こんにちは、伊藤です。

今月は幼稚園・保育園に関する話題をお届けします。

平成25年(2013年)4月に待機児童解消加速化プランが打ち出され、平成28年3月までに30万人の保育の受け皿が整備されました。ついで平成28年末の緊急対策で、平成29年度末(2017年度)までの保育の受け皿整備量が50万人分に上積されたところです。

最近、駅付近のマンションの1階などに保育園が増えたなあ、と実感されている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

保育士数も平成25年度から平成27年度の3年間で42.1万人から48.0万人に増え、また年収も賃金改善のため給付される処遇改善加算Ⅰ等により、310万円から323万円に増えています。

 賃金改善は保育士の確保にプラスに働きましたが、事業所で気を付けなければならないことをお伝えします。

処遇改善加算Ⅰは一時金(賞与)で支払うことも可能でしたが、処遇改善加算Ⅱは毎月の給与で支払うように決められました。また各自治体で取り組む保育士の給与改善も、月額給与に上乗せして支払うように決められています。

【注意点① 残業単価の見直し】

 毎月の給与に上乗せ方法で、新たな諸手当として支払う場合、時間外労働に支払う残業単価の計算にそれらの諸手当も含めて計算する必要があります。給与計算ソフトなどで自動計算している場合は、計算式の見直しや残業単価計算に含める支給項目となっているか確認が必要です。

 また、上乗せ額を仮に3万円とすると、残業単価は200円以上あがることになり、前月までと同じ時間の残業時間でも、支払額が多くなり、事業所の負担となります。保育士を確保できず、残業時間が多くなるような場合は、予想を超える人件費がかかることになるかもしれません。

【注意点② 社会保険料(私学共済掛金)の改訂】

 上乗せ分は毎月、定期的に支払われることから固定的賃金となり、支払い月から3か月の給与支払い平均が、それまでの標準報酬と2等級以上差がある場合は社会保険(私学共済)の月額変更手続きが必要です。手続き後の社会保険料は以前より当然増えるので、本人の負担も事業所の負担も増えます。

 月額変更届がもれていて、社会保険事務所などの調査で指摘されると、遡って社会保険料を訂正する必要があり、差額の保険料を本人からも徴収することとなって、思わぬ負担を感じさせる事になりかねないので適正に手続きをしましょう。

自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導・送検等の状況

2017-12-08

こんにちは、岡本です。
今月は運送業に関する話題をお届けいたします。

厚生労働省は毎年一回定期に『自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導、送検等の状況』を公表しています。

これは、その公表年度の前年一年間において、全国の労働基準監督機関が運送業を営む事業主に対し行った【監督実施件数】や【労働基準関係法令の違反が見受けられた事業場数】などをまとめた統計資料であり、平成25年より一般公表されるようになりました。

このような1つの業界にスポットを当てた監督指導・送検等の状況が公表されているのはあまり例がなく、平成29年現在、運送業ただ1つだけです。

「なぜ、運送業だけが?」

と思われるかもしれませんが、これは自動車運転者が依然として長時間労働の実態にあり、脳・心臓疾患の労災認定件数が最も多い職種であることに起因しています。

自動車運転者の労働時間管理は、労働基準法における原則的な労働時間法令がそのまま適用されるわけではなく、厚生労働省告示の「自動車運転者の労働時間等の改善の為の基準(通称:改善基準告示)」によることとされています。ただし、法令と現実の乖離があまりに大きすぎるが故に、改善基準告示の重要ポイントを正確に理解できていない会社が多く、身体に影響が出てしまうほどの長時間労働や無理な連続運転を行っているケースが後を絶ちません。

実際に、平成29年8月に公表された最新の統計(平成28年度分)では、監督実施事業場数4381件中、労働時間に対する違反は2434件(55.6%)となっており、半数以上の事業場で労働時間に関する違反が発生しています。

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/0000174348.pdf

労働基準監督機関が違反を認識した場合、原則として是正指導が行われることになりますが、昨今、企業規模が大きかったり、悪質とみなされた場合はすぐさま企業名が公表されるなど、後の経営に大きく影響を及ぼす措置がとられることもあります。

大ごとになる前に自主的な改善に取り組むのが何よりの対策と言えるでしょう。

建設業の社保未加入問題のその後

2017-11-22

森本です。

私からは建設業関連の話題をお送りしていきたいと思います。 

建設業の労務管理に関して、ここ最近のテーマのひとつが「社保未加入問題」でした。

平成26年8月以後、国交省、厚労省が連携して加入指導を徹底したため、未加入事業所の加入が大幅に進んだようです(ハーモニーにも多数のご依頼がありました)。

統計によると、26年8月の適用事業所数が1,827,385、直近資料によると29年6月で2,148,062となっています。

この数字は建設業だけのものではありませんが、国内の総事業所数は漸減しているという状況で、やはり加入指導の効果が相当にあったものと考えられます。

さて、新規の社保加入についてご依頼、ご相談をいただく中で、特に建設業を中心に、制度についての誤解?とも思われる定番のご質問がありましたので、少し触れてみたいと思います。 

○さかのぼって過去の保険料まで徴収されるのではないか

…そのようなことはありません。確かに、過去から加入すべきであったし、保険料負担もすべきであったものですが、年金事務所がそれを求めることは、実務上ありません。(ただし、度重なる加入勧奨を無視し、悪質な加入逃れであると判断された場合はわかりません)

○保険料天引きにより手取りが減ってしまうのではないか

…特に中小規模の建設業で働く方の中には、「手取り」の額を重視する方が少なくないようです。家族構成(扶養の状況)にもよりますが、じつは社会保険料の天引き額も、国民健康保険・国民年金保険料の額も、負担としてはそう大きくは変わらない(場合により社保の方が負担が少ない)のです。従業員様への説明に、具体的な数字でお示しすると納得していただけることも多いです。中には国民年金を未納とする前提で考えている方もおられ、その場合は比較のしようがないのですが…。

○国民健康保険でも一緒だから問題ないのではないか

…確かに、窓口の3割負担や高額療養費制度等は共通です。しかし、社会保険なら、病気等で働けない場合の所得補償(傷病手当金)があることや、万一の場合に基礎年金だけでなく厚生年金も受給できる等、もしもの時の違いが大きいことは、意外に知られていません。

などなど。

また、「とにかく社会保険に入ればOK」と手続きをしたものの、

・保険料率の改定等を反映していない

・算定基礎届等の定例の手続きをしていない

といったケースも耳にします。 

社会保険加入は、入った時からが新たなスタートです。困った事態になる前に、役所にお問い合わせいただくか、ぜひ私どもにご相談いただければと思います。

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